セッション- 彼は自惚れる天才だった

今回は映画、セッションのレビューを書きました。

 

まず、原題がwhiplash(鞭打ち)というのがもちろん劇中の曲名とフレッチャーを表していると思うが、鞭打ち症と意味を取ればネイマンを暗喩しているのではと解釈した。

ネイマンは天才ドラマーであったかもしれないが、彼の自惚れとそれによって自分が素晴しい信じ込むその性格をフレッチャーは見抜き、スカウトしたのだと思った。その自惚れは彼を高みへ引き上げ、厳しい環境と鬼のコーチを飲み込む勢いとなりこれにはフレッチャーも予想外であったのは、劇中にて明らかであったと思う。彼の性格はフレッチャーと相性が良すぎたのだろう。

 


私にはジャズの知識は漫画のブルージャイアントを読んだ程度でしかないが、ジャズはそれぞれのパートの押し引きで、上手い人がいればその人に引っ張られてグループが安定するということもある。

いわばアドリブが基本の音楽だという認識を持っているのだが、最後のフェスティバルでのCaravanは完全にネイマンが他のパートを引っ張っており、フレッチャーではなく彼中心に音楽が回っているのがよくわかった。最後にはフレッチャーまでもがネイマンに引っ張られ全てがネイマンを中心になったところで、彼はフレッチャーに指揮を渡し、最高のシーンで映画が終わってしまう。

 


最後は素晴らしいとしか言いようがないだろう。I'll cue youとネイマンがフレッチャーに言ってからが特によかった。画角、写し方全てにおいて感嘆するしかない。一瞬の静寂といい、漫画スラムダンクのラストシーンに通ずるものを感じた。

 


最後は間違いなく二人のセッションであり、「鞭打ち」という直訳を題名にせず(もちろん原題も好きだが)「セッション」とつけた方はすごいと思った。誰が見ても最高のセッションだっただろう。